Blackstarの新しいコンボがすごい(その2)

ニシキド ー イアン ー ムラタ ー ポール

先日ご紹介したBlackstarのアプリ ”CabRig” に関して追記情報をご紹介
全部の機能にこだわりがあり、アンプ本体の話まで辿り着かない…これがBlackstar Ampです

前回のブログでキャビネットシミュレーターがIRではなくDSPによるもの、という説明をしましたが、ちょうど今日Blackstar Ampの創始者の一人であるイアン・ロビンソン氏とポール氏が来店されました。そこでもうちょっと突っ込んだCabRigの話を聞いてみました

CabRig EQ 画面

IRではなくDSP、と言う表現は間違っている

早速、IRとDSPの認識/説明表現に指摘がありました。イアン氏曰く

「CabRigもIRデータを元に作られています。
そしてキャビネットシミュレーターをDSPチップで処理しています」

Blackstar

ん?と言う事はBlackstarのキャビネットシミュレーターはDSPではなくIRなのでは?
なぜIRではなく「DSPシミュレーター」という言い方をするのでしょう?

「ブラックスターがIRシミュレーターではなくDSPシミュレーターと謳っているのには訳がある。
実はCabRigをデザインするにあたり200個ほどのIRデータを用意したんだけど…それらをテストしている際に問題に気づいたんだよね。その問題とはIRの単体使用では問題ないけれど、2つのシミュレーターを同時に使う…例えば4×12と2×10のキャビネットシミュレーターを同時に使う/ミックスする場合に本物のアンプ/キャビネットと同じように位相の問題が発生する。また、デジタル・レイテンシー(遅延)も発生する。それって…困るよね?プロエンジニアならそれを解消する手段を知っているかも知れないけど、ミュージシャンの多くはその問題の解消法を知らない。だからIRデータをそのまま使うのではなく、ひと仕事加えている。つまり我々のデータはIR+(プラス)と言った方がいいかも知れない。実際、他のブランドでもIRデータを処理するために同じDSP(チップ)を使用しているからね。
ブラックスターも他のブランドもDSPでIRを処理しているけれど、ブラックスターの場合はそのIR自体の質が異なる。スナップショットされたIRデータをそのまま使うのではなく、IRに手を加えているんだ。音の余韻をカットして、サウンドに重要なフリークエンシーレスポンスだけを抜き出している、と言う感じだよ」

Blackstar Amp

との事でした

先日私がブログで書いた「Blackstar CabRigのサウンドはちょっとクラシックなアンプシミュレーターの質感」という話はまさしくその事を指しており、リヴァーブ感が少ない、タイトなサウンドでした。それゆえに「バツっ」と音が張り付く感じ。例えばPalmerのPDIなどに近い感じです。もちろん、その音を加工していけばモダンでよりリアルで奥行き感のあるシミュレートも可能です

「そう言う事。基本の音はリアルでドライなんだよ。元々の音をしっかりさせておいて、ルーム感/リヴァーブは後からユーザーが加えれば良い(CabRigにリヴァーブセクションが含まれています)これは実際にキャビネットにマイクを立てて録音する時も同じだろう?CabRigのキャビネットシミュレーターをこうやって構築する事で位相問題やレイテンシー問題をクリアーし、かつDSPの処理速度をアップさせた。このCabRigの音には非常に自信があるし、素晴らしいものだと自負している」

Blackstar
ROOMというコントロールで部屋鳴りをプラス

なるほど。

BlackstarオフィシャルサイトにはCabRigに関して「レイテンシーがゼロで、IRスナップショットよりも優れた柔軟性を持つCabRig™は、キャビネットのタイプや部屋の響きに至るまで完璧にシミュレートします」とあります。この「IRスナップショットよりも優れた柔軟性」と言うのが位相/レイテンシー問題などを解消しているという事になります

マイクを選ぶだけだけでなく”AXIS”でマイクの向きも変えられます

これらを踏まえてHT Club 40 MKIII のCabRigや、同じくBlackstar ID COREシリーズでおなじみArchitectソフトウェアをお試しください。どうも巷ではBlackstarのソフト/アプリは無料なので「軽く」扱われているようですが、実際にはかなり良質なソフトです。そして、真空管アンプにその機能が搭載されていると言うのがBlackstar Ampの個性であり、面白いところです

さて次は…どの機能をピックアップしましょうか?

村田

店頭でもお試しください

次回に続きます・村田

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