【コラム】ギターの内部配線材に関して

【コラム】ギターの内部配線材に関して

Text by MWrata

今回はギターの内部配線材のお話です

ギターに限らず、配線と配線材に関しては色々な情報があり、また権威あるビルダーやギター・テクニシャンの間でも意見は様々です。

例えば、単線ケーブルと撚り線ケーブルではかなり分かりやすく、音色は異なります。単線はその素材やゲージサイズで音色が変わります。撚り線は例えば7本の撚り線と18本の撚り線では全然、音が違います。またケーブルを覆っている皮膜の素材でも音色は変わります。ゴム、シリコン、布、ビニール…色々です。

さらに面倒なことに、同じ様なケーブルでも実は規格が色々あったりします。それがインピーダンスの違いであったりします。もちろん型番は違うのですが、古いケーブルの場合はきちんと吟味する必要があります。

昨今はヴィンテージの線材が多く出回り、容易に入手できる様になりました。有名なところではWE(ウエスタンエレクトリック)やベルデンなどのオールドケーブルです。これらはスプール(巻き)の状態で販売されることもあれば、切り分けられて販売されることもあります。

スプールの場合はN.O.S(ニューオールドストック)という名称で扱われることが多く、その名のとおり「古いけど未使用状態」で販売されます。もっとも、保管状態によっては酸化していたりする事もあるので、NOSならOKというわけではありません。

また、切り分けられている場合は古い機材や放送局などから放出された場合もあります。この場合はNOSとは言えません。

とにかく、線材は音に大いに影響します。楽器用のケーブルはもちろんですが、ハイ・インピーダンス信号を取り扱う楽器の内部配線などではケーブルを変えれば音色はモロに変化します。もちろん、ピックアップの性能(周波数特性など)によっては「ケーブルを変えても音色にほとんど変化がない」という事も起こり得ます(元から出ていない音【信号】は増幅/伝達できない)

また、古い単線素材を楽器の内部配線に使用する場合にも注意が必要です。古いケーブルを選ぶ場合、基本的にはヴィンテージ楽器のニュアンスに近づけたいという意向があるのだと思いますが、70年代ごろまでの一般的なギター/ベース楽器で単線を内部配線に使用した実例は殆ど、ないと思います。それ故に「ヴィンテージっぽくなる見込み」で配線を単線に変更→なんとなく音が変わる(当然)→気分的に満足、という事になります。しかしながら、それがヴィンテージ楽器のサウンドのテイストを持つかというと…という結果になります。

もちろん単線に交換後の音色が好きであればなんら問題ありません。しかし、狙っているのが王道のヴィンテージサウンドだとすると「それ、ちょっと違うんじゃないスか?」という結果になるでしょう。

当店でも稀にヴィンテージ線材などを取り扱うことがあります。その際に、もっとも重要なのは「どこから売りに出たのか」「誰が仕入れたのか」「音色はどうなのか」ということになります。その上で吟味しないと、おかしなモノを販売してしまう事になりかねないからです。

今、フーチーズにはK&Tが入手し販売しているヴィンテージケーブルがあります。これらはK&T高野さんのチェック後に、パッケージされています。

ヴィンテージギターに詳しい皆さんであれば「オールドにはその色の配線は使われていない」という風におっしゃるかもしれません。しかしながら、企画の面と音色の面で、高野さんがチェックした製品です。その音色には私たちも納得しています。特にレスポールの配線材に使用される網線シールドのケーブルは探してもなかなか見る事が少ない貴重なケーブルです。見た目は現行品でも殆ど同じなのですが…よく見ると違うのです。見た目も。

ストラト用、テレキャスター用、そしてレスポール用が少数ストックしてございます。特に2018年までのクルーズ・ヴィンテージライン ST/TL/LEDをお持ちの皆様(K&Tピックアップを搭載したギターをお持ちの皆様)は是非、このNOS BELDEN ケーブルをインストールして『2019バージョン』にアップデートされてはいかがでしょうか。残念ながら、NOS BELDEN CABLEは在庫のみの商品となりますので、売却後の次回入荷は未定となります。詳しくはお問い合わせください。

ストラト用の配線を交換してサウンドチェックしてみました

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