【コラム】PRS SILVER SKYの事

【コラム】PRS SILVER SKYの事

 PRS Silver Skyのイベント動画に非常にたくさんのコメント、そしてご視聴いただきありがとうございます。

発売当初から否定的な意見の多かった、このPRS x John Mayerのコラボギター。販売店側からすると「なぜ?」と思うこともありました。しかし、ポールリードスミス氏がエクスペリエンスPRSのイベント時に「この市場からの反応は全て予想していた」という事を販売店スタッフへのミーティングで発言しており「今の所全てがジョンメイヤーの予想通りだ」と仰っていたのが印象的でした。

John Mayerさんといえばギタリストであるというだけでなく生粋のギターギークであり、またセレブリティーでもあります。NIKEなどの世界的ブランドやその周辺のハイエンドブランドとの交流、ストリート x ラグジュアリーなスタイルには支持者も多く… 例えばパテックフィリップの時計を付けたままライブでギター演奏する人っていますかね…?そういう格好良さも兼ね備えていると思います。さらにアイウェア・ブランドのMAX PITTIONを復活させるなど、ミュージシャン以外での動向も注目される人物。日本のネイバーフッドやVISVIMと言った世界的に活躍するアパレルブランドとも交流を持つなどそちら方面でもマニアックな目線を持ち、単なるギタリストとは言えないほどの多方面に影響力を持っていると言えます。今回のPRS / SILVER SKYの販売戦略においても、そう言ったブランドのブランディング/マーケティングなども当然参考にされていると思います。SILVER SKYのボディーカラーやライブ毎使うカラーのルーティング、インスタでのアプローチなど、市場とユーザーを刺激するスマートな手法は楽器メーカーの考えるソレとはセンスが違うと思います。


左:Orion Green 右:Moc Sand

何より素晴らしいと思うのが「SILVER SKYの楽器としての完成度、そしてコストパフォーマンス」です。USAギターの同価格品でも、良いギターはあるでしょう。でも10本弾いたら製品のバラツキを感じると思います。SIVER SKYが素晴らしい点の一つとして、楽器の個体差を感じさせないという事があげられるともいます。これはヴィンテージギターを(も?)好むPRSとJohn Mayerさんのコラボレーションで最も重要なポイントだったのだと思います。

また、生音の時点でギターのサウンドを作り込んでいる点も見逃せません。「アイスピック・サウンド(耳がキンキンする音など)を好むギタリストがいるかな?少なくとも僕は好きではない」というポールさんの発言もありますが、SILVER SKYではまさにギターの「生音」から、その「耳に痛い音」が出ていません。そして「ジョンがライブにギターを忘れて行っても、楽器屋の店頭からSILVER SKYを買ってきて、そのままライブで使えるクオリティーを維持している」と言っていました。

これこそがこのPRS x John Mayerのコラボの最も重要なポイントです。

「なぜミュージシャンモデルを買ったのに、そのミュージシャンと同じ音が出ないのか?なぜ本人が弾いている楽器と市場に流通している楽器にこんなにも差があるのか?」という疑問を感じたJohn MayerがPRSと手を組み「誰もが自分と同じ楽器を手にする事ができて、なおかつ低価格に抑える。でも自分も納得したギターにしたい」という目標をクリアしたのが、このSLVER SKYなのです。

奥:Dodgem Blue 手前:Onyx

つまり「結局、ストラトのパクリなんでしょ?」という概念があるうちは、このギターの本質に気づく事が出来ないのです。…気づく必要がない事かも知れませんが。とはいえ、このSILVER SKYを弾かないで、SILVER SKYという楽器を判断しないで欲しいと思います。本当にすごいギターなんです。ここまで正当なシグネイチャーモデルがこれまで存在したでしょうか?


先日も、例の動画を見て「冷やかし半分で」SILVER SKYを弾きに来てくださったお客様がいらっしゃいました。しかも実際に弾いて、その完成度と音に驚き、その場で即決、購入していただきました。こんなに嬉しい事はありません。スタッフの2名は本気で感動したのでした。

また、すでにご購入されてスタジアムやフェスイベントでご愛用中のギタリストの木島さんからは「SILVER SKY 最高ですよ」というコメントもいただきました。木島さんいつもありがとうございます。こう言った現場からのフィードバックが、一番リアルなのはご存知の通り。

木島さんのように大規模なライブ会場やフェスに出演される場合、昨今は演奏者がイヤモニを使ったモニターシステムで演奏するのが一般的です。また、ギターやベースも、キーボードのようにアンプを鳴らさないラインサウンドでライブを行う事も珍しくありません。そう言った環境でヴィンテージギターを「そのままのスペックで」使う事は、かなり大変です。ところがSILVER SKYの音はイヤモニで、つまり「耳の中」で圧倒的に存在感を放ちます。

その理由は明確で「不要な帯域を初めから出していないから」からです。John Mayerさんも当然イヤモニでライブを行います。SILVER SKYの音決めも当然、そ言った環境でチェックされたでしょう。ヴィンテージストラトは、そんな環境で使う事など、考えて作られていません。

もしSILVER SKYと同じようにヴィンテージストラトを使おうと思ったら、まずピックアップは交換する必要があるでしょう。もしくは、バンドのサウンドをギターに寄せる必要があるでしょう。ノイズ処理も行う必要があります。貴重なヴィンテージ楽器に手を入れますか?入れたくない、というみなさんも多い事でしょう。また、打ち込みとシーケンスの音の洪水の中で、ヴィンテージギターのサウンドを聞かせるのは非常に困難です。


実は、先日当店で行なったイベントは「SILVER SKYはヴィンテージギターのフィーリングを持っているか?」という題目でしたが、サブタイトルとしては「現場で使えるのはヴィンテージストラトか?SILVER SKYか?」という事だったのです。

このサムネイル… 何とかならなかったのか…

もちろん、ギターにおいて「ルックス」は超重要ポイントです。

それゆえに、ルックスが好みでないというみなさんは、このギターを好きになれないでしょう。それは当たり前のお話です。しかし、使えるストラトを探している、または3シングルで好みのサウンドに巡り合った事がないという皆さまは、ぜひチェックするべきギターだと思います。

もちろん、JOHN MAYERサウンドに憧れる皆様は言わずもがな、です。フィーリングも含めてこのギターを好まれない皆さんも多い事は重々承知しています。でも言わせてください。「このギターがすごい、と言うのは見た目がどうのこうのとか、そう言う事じゃないんです」

ではどう言うことか?

それは弾いてみないとわから無い事なのかもしれません。

Dodgem Blue

それでもこのギターを弾いて、考えることで、昨今の音楽/コンサート/録音時の事情まで見えてくる。SILVER SKYとはそんなギターなのです。

もう一つ、上記の木島さんのお話ですが「でもね、なんにでも使えるってわけじゃ無いですよ。カッティングの曲や一部の曲ではフェンダーも使います」その訳は?

「曲のフィーリングと合わないので」

つまりそう言うことです。別に、SILVER SKYが3シングル最強、というワケでは無いんです。

私も、楽器のレビューではクルーズのギターを弾きます。ヴィンテージエフェクターの紹介時はフェンダーのヴィンテージ。その方が繋ぐ楽器の音、狙った音が出しやすいから、です。

余談ですが、先日SILVER SKY 所有のM様に、Crews SECをお買い上げいただきましたが、本日「SEC最高に良いよ」というコメントいただきました。「SILVER SKYより良いな。比べるものじゃ無いけど…」 というお話も。


楽器の捉え方は一つでは無いと思います。ただ、弾かないで判断するのはどうかな?と思います。ぜひ皆様も店頭でSILVER SKYを弾いてみてください。冷やかしです、と言ってくださって構いません。でも欲しくなってしまうかも知れません。その時は是非、お買い求めください。

最後に一つ付け加えさせていただくと、私たちヴィンテージストラト、大好きです。それを踏まえて、SILVER SKY推しなのです。

スタッフ 村田

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