【SidePark店 夏季休業のお知らせ】

フーチーズSidePark店は814日(日) ~16日(火)の間 夏季休業となります。

【連載】BASS DIを考える【その一】

【連載】BASS DIを考える【その一】

ベーシストには特にご注目いただきたいDIに関してのお話です。

兼ねてから「ベーシストの皆様は普段、DIについてどう考えていらっしゃるのかしら?」と思いランダムに定期的にリサーチをしていました。その結果、多くのベーシストがDIに拘っているものの、その「効果」に関してどう思っているか?という問いに関しては曖昧な返事が多く「DIの音(DI通過後の信号)はPAに任せている」とか「DIはアタック音/アタック感を際立たせる為に使っている」などが多くの回答でした。そして多くの皆さんが「ライブにおいてBASS DIは必須である」と考えていらっしゃるようです。

SANS AMPもDIです

ではまず、ライブでのシチュエーションを考えてみましょう。基本的には収容客数を問わず、ステージ上のバンド・アンサンブル(音量)が重要で、バンドメンバー間で音量のバランスが取れていないと後から面倒なことになる可能性があります。ここで言うバランスとは、まずドラムの音量に合わせてギターやベースの音量をアンプ側で決める、と言う事です。ドラマー/ドラム本体の音量やボーカルの声量/スタイルにもよりますが、その上で、PAがバランスをとってFOH(メインスピーカー)からの音量を決めるのが基本的には望ましいのではないでしょうか。

そうなると、よほどの大会場でない限り、客席の下手(しもて)側と上手(かみて)側では聞こえる楽器の音(音量)が変わってくるハズ…例えば、上手側がギターの場合、上手側のお客さんは圧倒的にギターサウンドがよく聞こえてしまうはずです。逆側もまた然り。この辺り、音響エンジニアの腕にかかってくる事になりますが、前記したバンド内での音量バランスがおかしいと、PA側がどんなに頑張っても対処しきれなくなります。ロックは大音量が当たり前?確かに… でもその場合、ギターだけでなく、ドラムもベースもバランス良く大音量にしなければなりませんね。勿論ボーカルも、です。

ベースの話に戻ります。ライブではアンプにマイクを立てて、その音を拾いますが、その理由は?

ベースは音域が広く、低域の成分も多いので、ドラムなどの楽器との音被りを抑えつつ、集音するのが非常に難しいものです。そこでアンプの手前で分岐したベース信号をDIからPA側に送ります。この音は音被りのない、独立したベースの音(ラインサウンド)なので、アンプサウンドにこれを加える事でベースの音を「見えやすく」する。これが前記した多くのベーシストが考えるライブ時におけるベースサウンドの作り方です。会場問わず、ライブ現場のほとんどでこの考えが主流になっていると感じます。

vintage Wolfbox / wikiより引用

ここで少しDIの歴史にも触れていきましょう。その正確な源流は不明なのですが、例えば「1960年代後半、ビートルズのレコーディング時に要望されてアビーロードの技術者により制作された」と言う話があります。またレコーディング関係のサイトや書籍では1960年代にエド・ウォルフラムがデザイン/カスタム制作したWolf boxがどれだけモータウンのベースサウンドにおいて重要な役割を果たしたか?と言う事がよく語られています。

例えばビートルズ/ジョンレノンのかっこいいギターサウンド(知らなければFUZZの音だと思うほど派手なドライブサウンド)が実はDI経由でコンソール(ミキサー)に直結された音で、その音をコンソールのヘッドルームで無理やり歪ませた音だったと言う逸話。同じように、オリンピックスタジオのヘリオス・コンソールにギターを直結して歪んだ音を作り出し、ライブでその音を再現したいジミヘンドリクスはロジャーメイヤーにAxis Fuzzを作らせた…これらは有名な話ですよね。

また、モータウンの素晴らしいベースサウンドの多くがベースからwolfbox(DI)を経由し、ミキサーに直結されていた(アンプは使用していなかった)という逸話もその界隈では有名。DIだけでなくコンソール自体が重要なのが勿論ですし、演奏者とレコーディング・エンジニアがその音を作り上げていたのは間違いありません。しかし、そういった機材をカスタマイズ/製作していたスタジオエンジニアが「ダイレクトボックス」を生み出さなければ、多くの名盤/名演で聴けるあの伝説的なサウンドも生まれてこなかった、と言う事実。非常に興味深いお話です。

こんな使い方ができるDIもあるんです

と言うわけで、DIは単純にクリーンなベースサウンドをPAに送るだけのものではありません。単純にアンバラ/バランス変換だけを目的にしたボックス、と言う事ではないのです。エンジニアだけでなく、ミュージシャンがもっとDIを良く知れば、さらに素晴らしい音でライブができると思います。

… 次回に続きます。

Return Top